6月30日の日記

2004年6月30日
お嬢さん、お嬢さん。
あなたにこの林檎をあげましょう。
その赤い薔薇の様な唇に
とても似合う赤い林檎を。

この林檎の様に艶やかな肌と
この林檎の様に透通った瞳と
この林檎の様に甘い匂いを漂わせ
この世で一番綺麗で幸せな
お嬢さんにこの林檎をあげましょう。


だけど注意しなさいな。
それは毒が入っているかも知れない。

一口齧れば
お前は赤い血を吐き
肌は雪の様に白くなり
胸の鼓動も消えてしまう。

そんな毒林檎かも知れないよ。

食べるか食べないかはお嬢さんが決めなさい。

今迄の日常を選ぶか
欲望に満ちて生きるか
それはお前自身で決めなさい。



「お婆さん。一口その林檎を齧らせて。」



やっぱり馬鹿な子だったね。
好奇心と欲望に溺れて
永遠の眠りについてしまったよ。

・・・残念だったねお嬢さん。
此れは御伽話なんかじゃないから
白馬の王子様がきても
甘い口付けを交わしても
お前はもう目を覚ます事はないよ。

可哀想な お嬢さん

せめてこの林檎の様に
赤く甘い泡沫の夢を御覧なさい。

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